看護師に求められるリーダーシップ

セルフイメージの再構築

看護師のリーダーシップというと、現場での指導力や統率力、推進者として人を動かす能力を思いうかべるかもしれませんが、リーダーシップの言葉の定義は、一人ひとりが強みを発揮し、チームとして効率的に業務を遂行することです。

看護師におけるリーダーとチームはどちらが先か?

看護師として3年目を過ぎるとリーダーシップを求められるようになります。看護部の教育テーマとしてリーダーシップを取り上げることも多く、筆者の研修カリキュラムでもリーダーやリーダーシップについて講演依頼が増えています。

看護師がリーダーデビューしたときによく陥るのが、リーダーシップを発揮することは「スタッフを自分が思う通りに動かすこと」と勘違いしていしまうこと。

ビジネスにかぎらず、家庭も学校のクラスも一つのチーム。

チームができると様々な性格や特徴をもメンバーが入り乱れることになります。時には衝突もあり、足を引っ張りあうことだってあります。

したがって、チームのパフォーマンスを最大化するためにはチームをまとめるリーダーの役割を誰かが担わなくてはなりません。

ということはリーダーとチームのどちらが先かと言えば、その重要性においてチームの方が先だということです。

リーダーがいるからチームができたのではありません。

看護師のリーダーとリーダーシップ、管理職・マネージャーの違い

リーダー、リーダーシップ、管理職・マネージャーの言葉の定義について解説します。

  • リーダーとは?

リーダーとは一般に先頭となるもの。グループ、集団を代表、指導、先導、統率する存在と理解されています。リーダーの語源は、インド・ヨーロッパ語の【leith】で「敷居を超える」という意味。

つまり、リーダーの役割は未来(未知)世界に出発すること、一番先頭に立って進むことで、結果としてみんなの夢や希望を実現する場をつくる=結果として周りの人は「次の未来を観ることができる」

重要なのは結果として場をつくるということで、未開の地を歩いた後に轍ができるように、まだ見ぬ新しい未来への道筋を示す人のことを指す。

  • リーダーシップとは?

リーダーシップとは人が人に対して与える影響のことで、強みがそのまま発揮できる=結果として相手は「決断力」や「強さ」「寛容さ」等を感じる。

あくまで相手が勝手に感じる主観であり、リーダーの要件ではない。強みそのものがリーダーシップであり、それを相手が結果として強さや寛容さと感じ

  • 管理職・マネージャーとは 

場や目標を管理する人や役割=PDCAを回す=それぞれの影響力(リーダーシップ)を把握して活かす人。したがって管理職=リーダーとは言わない。

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看護師リーダーと管理職・マネージャーは違う

病院などではよくリーダーと管理職・マネージャーを混同されることが多いのですが、このように本来リーダーと管理職・マネージャーは異なるものです。

トップダウンで降りてきたタスクを正確に実施させるべくスタッフを管理するのが管理職です。またスタッフを指導してあらかじめ設定されているやるべきこをを過不足なくやらせるのがマネージャーの役割です。

なのでリーダー力はあるけど、マネージャー資質はないという人もいるでしょう。

どうしても管理職にリーダー力を求められますが、PDCAを回しながら、リーダーとして先頭に立ち人を引っ張っていくというのは至難の業です。逆にリーダーシップは高いけど、リーダーになれない人もいるでしょう。

一方リーダーは自律的なチームを作る役割を担っています。つまりチームメンバーの特性を活かしつつ、その場の状況に合わせて、やるべきことを自分で考えることができるスタッフを作ることです。

このように言葉の定義を混同している経営者が、管理職リーダーを育てるという発想をして教育をしようとすると、管理職やリーダーに葛藤が生じます。

リーダーとしての知識やノウハウでは人は動かない

ネットや書籍などではリーダーのための情報が溢れています。なぜ、それほどまで組織ではリーダの育成が求められているのでしょうか。

それは激変する社会やビジネス環境にあっては、あらかじめ決まっているやるべきことをこなすというスタイルでは生き残っていけないからです。

多くのチームマネジメントの手法は、リーダーが何をするか(DO)という方法論に重きが置かれています。それも大切なのですが、それでは人は動きません。

このことは技術系であるエンジニアや医療専門職のリーダーに顕著です。彼ら彼女らは、この何をするか(DO)という方法論において卓越しているからです。

病院や施設のような感情や個性、不条理にまじりあう人間同士のチームでは理屈で割り切るデジタルな世界観は通用しません。

いま様々な医療機関の師長や事務管理職研修は、概念論ではなく自主的な経営思考を育みための実践的なノウハウが求められています。

これからの病院経営においては優れたリーダーである医療経営人材がさらに重視されます。

これからの医療は、そいういう人材を軸に一段上の主体性と能動性を発揮する組織によって、患者、家族のニーズにタイムリーに対応していくことが求められます。そういうチームを作ることこそが、次世代のリーダーの役割と言えるでしょう。

研修ではリーダーやマネージャーたちに「何を言うかより、誰が言うか」が優先するという話をします。

チームマネジメントにおいて最も大切なのは、リーダーが「どういうことをするか(DO)」ではなく、リーダーが「どいういう人であるか(BE)」です。

部下はあなたが上司だから言うことを聞くのではありません。あなただから言うことを聞くのです。つまり「あなただったらオッケー」と言ってもらう必要があります。

もしあなたが「あのリーダーのためにこそ、全力を尽くしたい」と言わせることがきたのなら「BE」によってスタッフを引き付けるリーダーの「求心力」になります。

リーダーシップは誰もがもっている強みそのものなので、リーダーであるあなたが、必ずしもリーダーシップを取る必要はないです。

チームの中で言葉の定義を明らかにして本来やるべきことは何かを考えてみてください。

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執筆者

 

 

 

 

 

TEPPEI SUGIURA

株式会社メディテイメント

代表取締役  杉浦鉄平

30年以上にわたる病院勤務(臨床15年、看護部長10年、事務局長5年)と、病院コンサルタント経験で培った、病院経営における人、モノ、カネすべての問題を解決するメソッドを体系化。このメソッドをより広く普及させるためにメディテイメント株式会社を設立。また、セコム医療システム株式会社顧問に就任。「病院再生コンサルタント」として、多くの病院の組織変革を実行し、高い評価を得る。現在は、コンサルティングと同時に、病院管理者研修、病院の意図を理解し、自律的に行動する医療経営人財を育成する「医療経営参謀養成塾」を運営。

 

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