チーム生産性を高める唯一の方法とは?

セルフイメージの再構築
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チーム生産性を高める唯一の方法、それは米グーグル社が発表したことで大きな注目を集めることになった心理的安全性です。

医療の場にこそ最も必要な心理的安全性。しかし現場で働く医療従事者たちにその心理的安全性は保たれているのでしょうか。

成功するチームの法則「心理的安全性」

自分を無知で無能な人に見せないための解決策は非常に簡単です。

つまり、無知だと思われないためには「質問をしない」、無能だと思われないためには「間違いや弱点を認めない」、押しつけがましいと思われないためには「アイデアを出さない」

ネガティブだと思われないためには「現状を批判しない」というような行動を取ればよいのです。

しかし、そのような組織に未来の変化成長は期待できません。やがて人々は辞め、組織は衰退の道を辿るでしょう。

米グーグルが突き止めた社員の「生産性」高める唯一の方法は、『プロジェクト・アリストテレス』が明らかにした「心理的安全性」があるということでした。何を言っても否定されない、批判されない「自分をさらけ出せる安心感があるかどうか」です。自分をさらけ出し、周りが心遣いや理解、共感を示すことができれば、チームの生産性は向上することを証明しました。

心理的安全性とは?グーグルが実践している方法!チームの生産性上昇へ | Beyond(ビヨンド)
グーグルの報告によって有名になった組織の「心理的安全性」について、同社の具体的な取り組みとともに解説していきます。マネジメントの分野で注目されている概念ですから、経営者やチームを導く立場にあるリーダーの方は、ぜひ参考にしてください。

そこに、さらにもうひとつの軸を加え、2軸で生産性が高まるよりベストな状態とは何かを考えてみたいと思います。

組織が生産性を上げるベストな状態は、責任と心理的安全性が高い

世界的な経営学者Amy Edmondson教授はスピーチフォーラムのTEDで、心理的安全性がないと、どのような事態を招くのか、そして職場が心理的安全性を得るにはどうすればいいのかを語っています。

さらに、仕事のパフォーマンスに関して「心理的安全性」と「モチベーション&責任」は別の指標であり、「心理的安全性が確保されたら責任感がなくなる」といった関係ではないと説明しています。

では、わかりやすく図で心理的安全性と責任のマトリクスでみてみましょう。それぞれの事象は組織やチームの雰囲気だと思ってください。基本的に、そのチームがベストな状態になるのは、責任が大きくて心理的安全性が大きい状態を指します。

看護部は心理的安全性が保たれていない

みなさんもご経験があると思いますが、責任だけが大きくてチームの状況が最悪だと非常にストレスフルで不安になります。図に示した病院各部署の配置はあくまでひとつの例ですが、一般的に看護部門は責任が大きい反面、心理的安全性が低いポジションにいる場合が多いと感じています。高圧的でワンマンな医師と患者との板挟みになることもあるでしょう。

例えば、当直のナースが患者の心電図モニターのわずかな変化に気づき当直医に電話をしようとしましたが、以前ひどく批判されたことを思い出し電話をするのをやめてしまったとか、上司の誤りに気付いても、機嫌を損ねるのが怖くて、結局何も言えず後悔だけが残ったなど、心理的安全性が保たれていない状況では、常に責任感との葛藤が起こります。

一方チームの状態は良いのに責任が発生しない状態は「快適」となっていますが、これは良い意味ではなく、「ぬるま湯」という意味です。責任も低くて心理的安全性も低い状態だと、閑職に追い込まれてパワハラを受けているような状態なので、当然仕事には関心が持てず、やがて人は辞めていきます。

ところが、責任と心理的安全性が高くなると、人は「学習」をしながらチームできちんと問題を解決していく状態になります。特に医療者は貢献欲求が高い職種の人たちです。例えば医療や介護のネットワークをコアした街づくりに、病院が地域貢献として取り組むといったミッションに対してモチベーションが高まり、通常では成しえないような大きな成果を上げることもできます。

チームマネージャーが最も危惧すべきなのは、「よい仕事をするための責任」ばかりを重視して、互いに話し合うことを怠り、その結果、人々が「不安」ゾーンに入ってしまうことです。つまり、前述のとおりモチベーションや責任感は心理的安全性とは別もので、両者が高まった時にはじめて人は学習し、イノベーションを起こせるようなチームに変わります。

どちらの軸で考えるかで、アプローチ法は変わる

長年その部署で仕事をしていると、それぞれマネジメントスタイルは違ってきます。病院にも職種間で独特の精神風土や価値観の違いがあります。

一例ですが筆者がコンサルティングを行っている、ある医療機関では長年の赤字体質であるにもかかわらず、医師や事務部門は危機感が乏しく、看護部門と一部の診療技術部門が積極的に改革に取り組むという構図でした。

新規入院獲得のため医師に救急医療体制について協力を求めますが、強い抵抗にあって受け入れてもらえません。

看護部も正論で医師に行動変容を求めますが、基本的に外的なコントロールで人を変えることはできません。逆にロジカルに反論され、恥をかかされるなど心理的安全性が損なわれ、プライドを棄損されます。

結論を言えば、どの部署も人たちも右上にもっていきたいわけです。しかし、同じ右上でも事務部はぬるま湯状態です。この場合やるべきことを明確にしてロードマップにより厳しくプロジェクト管理をすることが求められるでしょう。一方看護部は統率がしっかりしていて、看護部長のトップダウンでベクトル合わせはある程度できています。

しかし、個々の承認欲求が満たされていませんので、チームビルディングをしっかりやってコミュニケーションの量を増やし、小さな成功体験を共有する。そして責任追及フレーズ禁止をルール化しチームの行動指針を明確にします。

横軸、縦軸のどちらで考えるかによって、アプローチの方法は変わってきます。現実の職場は複雑で相互依存的なものであり、簡単に状況を改善できるものではありませんが、人々が一丸となって挑戦しがいのある仕事にうちこむことで、学びがあり、やりがいのある仕事場を作れるようになると考えています。そしてそのベースとなるものが、責任と心理的安全性高める環境の構築だと確信しています。


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