病院組織のチームビルディングマネジメント「チームの成長法則」とは?

病院経営について

病院組織のチームマネジメントは、4つの成長段階を経て成果を出す、タックマンモデルのフレームワークで考えると組織の構造的な問題がみえてきます。

病院組織のチームとグループに違い

病院の人と組織の問題を解決するための3つの視点は「人材力」「組織力」「関係力」

この3つの視点をつなげるマネジメントがチームビルディングであると、前回「病院は赤字経営を根底から解決する、3つの視点とは」でお伝えしました。

そこで今回はチームとグループの違いを組織の成長プロセスから考えてみたいと思います。

組織改革の序盤で、メンバーによくこんな質問をします。

「そもそもチームとグループの違いは何でしょうか?」と。

ここで、ほぼみなさんは固まります。そこで「正解も不正解もないので、自分なりの回答を作って、自分の言葉で答えてください」と言ってグループでディスカッションをさせます。

すると「チームは結束力があるが、グループはそれが弱い」「チームは目的を共有しているけど、グループにはない」「スポーツはチームというけど、グループとは言わない」なとの対話や回答が出てきます。

グループは「人の集まり」という意味でとらえています。チームも人の集まりなのでグループと言えます。明確なゴールがなくても、何らかの目的を持った組織だから、同じ部署、同じ役職だからという理由でも人の集まりはできます。ただそれだけではチームとは呼べません。

チーム作りはジグソーパズルに似ています。ジグソーパズルをすることきをイメージしてみてください。

  1. まずピーズの色や形、模様を分類しざっくり並べる。
  2. 次に、ピースの凹凸を組み合わせる作業

1.は実際にはチームと呼ばれながら、チームとして機能していない場合があります。部署ごとの役割の中で、それぞれ自分の持ち場を守り、他人の仕事には口を挟まないイメージ。これをグループと呼びます。

これに対して2.はパズルのピースをガチャガチャをぶつけ合わせることになります。互いに自己主張し、納得がいく形を探ります。この間は組織のパフォーマンスが低下するので、積極的にやろうとしません。しかし、パズルを合わせ始めると、だんだん全体像が見え始め、次第にグループはゴールに向かって動き始めます。

このグループからチームに成長する普遍的なシナリオとして「チームの成長法則」というものがあります。

あなたの組織はチームですか?グループですか?

自分がチームリーダーだとして所属している組織に当てはまるものを、以下からチェックしてみて下さい。

  • スタッフが頑張っている、ただ自分の仕事の範囲まで超えてやろうとはしない
  • 自分がリーダーとして築き上げたきた仕事のクオリティを下げたくないのでスタッフにはまかせららない
  • リーダーである自分がプレーイングマネージャーとして現場で奮闘しないと、目的が達成できないことがある。
  • 組織の成長とともにベテランと新人のギャップが大きくなってきた
  • 現場力が高い人をマネジメント職に昇格すると力を発揮できない
  • 自分の右腕になる人財がなかなか育たない
  • 会議を頻繁にやっているけど伝達事項の一方的な共有がメインになる

さて、いくつ当てはまったでしょうか。

もしひとつでも当てはまるものがあったら、あなたの組織はチームになる前のグループです。それなりに頑張っていて最低限のパフォーマンスは出しているけれど、何か物足りない、次のステージになかなか進めない、そんな状態です。

これまで、たくさんの病院を見てきた私の肌間隔では、8割の病院組織がチームではなくグループです。

チームの成功法則とは?

楽天大学学長の仲山進也氏は著書『今いるメンバーで大金星を挙げるチームの法則』の中で「人や組織の成長にはいくつかのステージがあり、各ステージではいくつかの問題が発生する」と語っています。

確かに大きな成果を上げた組織の例を調べてみると、ほぼ間違いなく、混乱や停滞期のエピソードがあります。これはビジネスだけではなくスポーツでもよく見られます。

チームで仕事をする人々の行動を研究している、アメリカの学者ブルース・タックマン氏が考案したタックマンモデルでは、4つの成長段階でコミュニケーションとメンバーの関係を説明しています。

タックマンモデルではチームは「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」という4段階を踏んで、成長していきます。英語だと韻をふんでいて、それぞれ「Form」「Storm」「Norm」「Perform」と言います。

① 形成期(Form)

病院組織でプロジェクトチームなどが組成されたときの状態です。互いが遠慮し様子をみている段階です。最初は仲がよさそうですが、メンバーが同じ価値観を持っているわけではなく、ゴール達成の方法やプロセスがイメージがなく、チームワークといゆものが醸成されていません。

② 混乱期(Storm)

メンバー間の様々な「違い」が明らかになり、不安が高まる段階。メンバー同士の「衝突」や協力に対する「抵抗」が表面化します。プロジェクトでせっかく物事を決めても、上の人たちがひっくり返したどうするんだとか、資料の作り方がおかしい、発言が気に入らないなど細かいことから、ゴールイメージやアプローチ方法が食い違うなど大きなこともありますが、目標に向かって一丸となっていない状況です。

③ 統一期(Norm)

混乱を乗り越え、あたらしいルールや秩序が生まれる時期。個人の思考や行動の特性を理解しあい、自身の役回りを認識してどのように動くべきかに気づきはじめ、ここから希望が見え始めます。

④機能期(Perform)

チームが主体性と能動性を発揮し、成果に向けて機能している状態。団結力が生まれ、周りの想像を超える結果を生み出します。統一期では、リーダーによって規律やルールが提示されましたが、この段階ではチーム自ら規律を生み出します。

嵐を避けて次のチームの成長段階に進むことはできない

ストーミングとは嵐のこと。しかし、この時期を避けて次のステージに進むことはできません。遠慮や思い込みなどで事なかれ主義になると、次の機能期のパフォーマンスは低下し、プロジェクトがフェードアウトする、もしくは不満や不安が爆発して空中分解してしまいます。

チーム作りの初期に飲み会や合宿など仕事から離れた場でお酒の力で本音をぶつけ合うケースもありますが、表面的には仲良くなっても、あとから考え方が違っていて、「こんなはずではなかった」ということもあり得ます。表面上は仲良く問題がないかのように振舞っておきながら、飲み会やSNSで不満爆発などということは最も避けたいところです。

むしろ仕事への考え方、価値観、個人の事情などを意識的にぶつける場を持つことで、健康的に混乱期を作り出したほうが、後々の意識の違いの発覚を避けられます。

つまりジグソーパズルのように、ピースをガチャガチャぶつけ合わせる時間が必要なのですが、多くの組織はこの組み合わせ作業を「非効率」と考えてやろうとしません。

しかし、ガチャガチャやって凹凸がぴったりはまったときにはじめてグループはチームに変わります。

私は、混乱期(Storm)を谷に落ちると言っていますが、形成期から混乱期の谷底あたりまでを、「グループ」、谷を登り始めた時期からを「チーム」と定義しています。

 

この混乱期の谷を建設的かつ効率的に作り出すチームビルディングの手法として、私が現場で実践しているのは、「仮想体験ゲーム」です。様々なゲームを通じて、楽しみながら人材力×組織力×関係力を一気に強化し、問題解決力が高く、新たな価値を創造する組織づくりについて、次回のブログで解説いたします。

 





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執筆者

 

 

 

 

TEPPEI SUGIURA

株式会社メディテイメント

代表取締役  杉浦鉄平

30年以上にわたる病院勤務(臨床15年、看護部長10年、事務局長5年)と、病院コンサルタント経験で培った、病院経営における人、モノ、カネすべての問題を解決するメソッドを体系化。このメソッドをより広く普及させるためにメディテイメント株式会社を設立。また、セコム医療システム株式会社顧問に就任。「病院再生コンサルタント」として、多くの病院の組織変革を実行し、高い評価を得る。現在は、コンサルティングと同時に、病院管理者研修、病院の意図を理解し、自律的に行動する医療経営人財を育成する「医療経営参謀養成塾」を運営。

 

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